日本語小話

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虫集く――虫が……?

虫集く

 

はじめに


ご機嫌よう!
漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

リンリン、コロコロ、虫の音が聞こえる時季になりました。
少しずつ涼しくもなり、秋らしくなってきましたね。

夏の蝉の「今日も力いっぱい生きてるぜ!」と主張の強い鳴き声に比べて、
秋の虫たちの鳴き声はなんだかアンニュイだったり物悲しそうに聞こえます。
不思議なものです。

ということで、
今日はこの虫の鳴き声に関する秋の言葉をご紹介します。

 

虫集く

 

「虫集く」と書いて、「むしすだく」と読みます。

「集(すだ)く」は、古い言葉で、「集まる」という意味です。
もともとは字の通り「秋の虫が集まること」を表していたようですが、
時代が下るにつれて「秋の虫が集まって鳴くこと」を表すようになったそうです。
今でも秋の季語として使われます。

例えば高浜虚子は次のように詠んでいます。

 

松虫のものがたりあり虫すだく

 

哀鳴啾啾(あいめいしゅうしゅう)

 

秋がもっと深まってくると、
虫だけではなく鳥の声も物悲しく聞こえます。

悲しげな虫や鳥の鳴き声を表す四字熟語があります。

「哀鳴啾啾(あいめいしゅうしゅう)」

「哀」は、「悲しい」。
「鳴」は、そのまま「鳴く」。
「啾啾(しゅうしゅう)」は、「小声で力なく泣く様子」。

つまり「哀鳴啾啾(あいめいしゅうしゅう)」は、
「鳥や虫が悲しそうに鳴くこと」という意味です。
(鳥の話はまた別の機会に)


落ち葉など目で見る秋も物悲しいですが、
どうやら耳で感じる秋も同じであるようです。

 

おわりに 

 

ということで、
本日は虫の声に関する言葉を二つご紹介しました。
今夜はぜひ集(すだ)く虫の声に耳を傾けてみてください。

読んでくださりありがとうございます。
それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!