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千本桜――千本の桜?

千本桜

 

はじめに

 

ご機嫌よう!

漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

 

今日2021年9月17日は、

ボカロ曲(VOCALOIDの楽曲)「千本桜」投稿10周年の記念日だそうです。

2011年のこの日、黒うさP氏がニコニコ動画でこの曲を公開なさいました。

今やボカロといったらこの曲といっても過言ではないほど、有名になりました。

ヨナ抜き音階とロックを融合させたメロディーが印象的なこの曲。

小林幸子さんが歌われたり、歌舞伎とコラボしたりと、
その人気は止まることを知りません。

 

ということで、
本日はこの「千本桜」をテーマに書こうと思います。

 

千本桜

 

「千本」は、実際に1000という数字を指しているのではありません。
「たくさんの」という意味です。

つまり「千本桜」は「たくさんの桜」という意味になります。

 

また、「千本桜」は「たくさんの桜が生えている場所」としても使われます。

有名なのは、奈良の吉野山でしょうか。

吉野山にはなんと千を軽く超えて、

3万本もの桜が植えられていると言われています。
まさかの逆サバです。

この吉野に咲く桜を「吉野桜」といったりもします。

昔の人たちは、
私たちが桜と聞いてイメージするソメイヨシノとはまた違った風情の桜を愛していました。

 

ソメイヨシノを「吉野桜」と言ったりもしますが、
ここで書いた「吉野桜」は別物です。

吉野山に咲く吉野桜はシロヤマザクラが多いそうです。

 

義経千本桜

 

吉野山は数々のエピソードが伝わっている場所です。

そのなかでも有名なのが、源義経のエピソードではないでしょうか。

この話は脚色され、浄瑠璃や歌舞伎にもなっています。

それが「義経千本桜」です。

 

その古典歌舞伎「義経千本桜」とボカロ曲の「千本桜」をコラボレーションさせたのが、

あの「超歌舞伎 今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)」です。

簡単にご説明すると、
歌舞伎の舞台にバーチャルなミクちゃんとKAITOくん、そして背景を融合させた演目です。

私はテレビでこれを見たのですが、
一言でいうと「圧巻」でした。

本当にミクちゃんやKAITOくんたちが舞台の上にいたのです。
動きもなめらかで違和感なく存在していました。

生身の役者さんの繊細な演技とバーチャルで作り出した映像がマッチしていて、
引き込まれてしまいました。

千本桜の曲に合わせたパフォーマンスも最高でした。

もちろん終幕(さいご)は……。

 

花盛り

 

話を「千本桜」に戻します。

「千本桜」は、吉野山の花盛りの様子をイメージさせる言葉でもあります。

ボカロ曲「千本桜」のPVを見てみると、
大正ロマンを感じさせる映像が印象的です。

もしかすると、近代化を果たしまさに「花盛り」の時期を迎えた日本を、
「千本桜」が象徴しているのかもしれませんね。



おわりに

 

以上、「千本桜」という言葉についてご紹介しました。

ぜひご自身の「千本桜」のイメージを頭に思い浮かべながら、
「千本桜」の曲を聞いてみてください。

 

読んでくださりありがとうございます。
それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!