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「水は方円(ほうえん)の器(うつわ)に随(したが)う」――水はどんな形にもなれる

水は方円の器に随う

 

 

はじめに

 

ご機嫌よう!
漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

 

一昨日、昨日と、テレビで
「『鬼滅の刃』竈門炭治郎 立志編 特別編集版」
を見ました。

結末を知っていながらも、
つい見入ってしまいました。
やっぱり『鬼滅の刃』はおもしろいですね。

 

鬼滅の刃」は、
作画だけでなく、
言葉の使い方も素晴らしい作品です。

作中には印象的なセリフが山のようにあります。

 

ということで、
今日は「鬼滅の刃『鼓屋敷編』」に出てきたセリフに
ちなんだ言葉をご紹介します。

※ここから先はネタバレが含まれます。
 お気をつけください。

 

「水は方円(ほうえん)の器(うつわ)に随(したが)う」

 

「鼓屋敷編」のクライマックス。

響凱(きょうがい)という鬼に追いつめられた炭治郎は、
師である鱗滝(うろこだき)さんの教えを思い返します。

鱗滝さんはかつて、
「水の呼吸」について炭治郎に次のように語っていました。

 

水はどんな形にもなれる 

升に入れは四角 

瓶に入れば丸く

時には岩すら砕いて

どこまでも流れてゆく

 

つまり、
水のような変幻自在さ、
そして柔軟さが「水の呼吸」のキモということです。

 

ところで、
水は昔から「人のありよう」のたとえに使われてきました。

 

「水は方円(ほうえん)の器(うつわ)に随(したが)う」

 

古代中国の思想書韓非子』にも、
孔子の言葉としてこのフレーズが記されています。

 

水は、器の形によって方形(四角形)にも円形にもなる。

同じように、
人も付き合う相手や身を置く環境によって良くも悪くもなる、
という意味です。

 

孔子は、
「人間の善悪はリーダーの善悪に左右されるんだ」
という持論の説明として、
このように語りました。

現代ではリーダー論ではなく、
もっぱら「人は友達や環境次第で良くも悪くもなる」
という方の意味で使われています。

 

そう言われてみれば、
「朱に交われば赤くなる」ということ、
実際にあるような気がしませんか?

 

逆に言うと、
理想の自分になりたいなら、
自分が理想とするような人と付き合って、
自分が理想とする環境に飛び込めばいいのかもしれません。
……それが一番難しいことですけれど。

 

余談ですが、
「人は変わる」という考え方の真逆の言葉に、
「三つ子の魂百まで」というものがあります。

人はそうそう変わらないよ、という意味です。

ちなみに英語では、
“The child is father to the man.”(子どもは大人のもと)
というそうです。

 

結局のところ
人が変われるのか変われないのかは分かりませんが、
できることなら良い自分でありたいものです。

 

おわりに

 

以上、
「水は方円(ほうえん)の器(うつわ)に随(したが)う」
という言葉をご紹介しました。

 

読んでくださりありがとうございます。
それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!