日本語小話

3分で読める日本語雑学

中原(ちゅうげん)に鹿(しか)を逐(お)うーー射止められるのは一人

中原に鹿を追う

 

 

はじめに

 

ご機嫌よう!
 漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

 

ニュースは自民党の総裁選一色ですね。
4人の方々が一つしかないトップの椅子を争って
バチバチしている様子が連日報道されています。

その次には衆院選も控えているということで、
まだまだ政治家さんたちの椅子取りゲームを見守る日々は続きそうです。

ということで、
今回は一つのものを得るためにみんなで競い合う
ことをたとえる言葉をご紹介します。

 

中原(ちゅうげん)に鹿(しか)を逐(お)う

 

「中原(ちゅうげん)」は、黄河流域の広い野原の中央です。
この場所はかつての中国の中心部であったため、
「中原(ちゅうげん)」を制した人が
中国全土を支配できるとされていました。

「鹿」は、皇帝の位(リーダーの椅子)のたとえです。

一頭の鹿を何人ものハンターが追いかけるように、
一つしかないリーダーの椅子を何人もの人たちが争って
手に入れようとしている様子を表した言葉が、
「中原(ちゅうげん)に鹿(しか)を逐(お)う」です。
省略して、
「鹿を逐(お)う」とか、「逐鹿(ちくろく)」と言ったりもします。
昔の中国の詩人・魏徴(ぎちょう)が作った詩がもとになって
使われるようになった言葉です。

現代では皇帝の位だけでなく、
政権や、その他の地位、目的の物を得るために
競い合うことのたとえとしても
この言葉が使われます。

 

おわりに

 

以上、
「中原(ちゅうげん)に鹿(しか)を逐(お)う」
という言葉ををご紹介しました。

 読んでくださりありがとうございます。
 それでは今日はこの辺で。
 ご機嫌よう!