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曲(ま)がれば則(すなわ)ち全(まった)しーー曲(ま)がって!

曲がれば則ち全し

 

 

はじめに

 

ご機嫌よう! 
漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

本日10月8日は「木の日」なのだそうです。

ということで、
今回は「木」に関する言葉をご紹介します。

 

曲(ま)がれば則(すなわ)ち全(まった)し

 

古代中国の思想家に、
老子(ろうし)という人がいます。
その人の思想をまとめた『老子(ろうし)』と
いう本の一節を引用します。

 

曲(ま)がれば則(すなわ)ち全(まった)

(曲がることで最後までやりぬける(=生を全うできる))

 

 

木は曲がることで、
光の差す方へ伸びていけますよね。
暗いところでまっすぐ伸びようとしても、
お日さまの光が満足に浴びられないので
大きく育ちません。

また、
まっすぐな木は木材にうってつけなので、
すぐに切られてしまいます。
曲がった木は使い道が限られるので、
かえって切られることなく
大木に成長できます。

 

ですから、
まっすぐな木だけがすばらしいとは限らないのです。

人間関係でもそうですね。
まっすぐに自分の意見ばかりを押し通そうとすれば、
無用な争いを生むことになります。

 

老子』のテキストは、
次のように続きます。

 

「その通りに生き(曲がることをおそれずに生き)れば、
与えられた寿命を全うして、
天に帰ることができる」


老子(ろうし)は「曲がる」ことで、
うまく生きられるといっています。

曲がっているからこそ、
曲がっていること(自分のウィークポイント)を逆手にとって、
うまく事を運べる。
老子(ろうし)はそう教えているのかもしれません。

曲がっていても、
いえ、
曲がっているからこそ良いのです。

 

おわりに

 

以上、
「曲(ま)がれば則(すなわ)ち全(まった)し」
という言葉をご紹介しました。

 

読んでくださりありがとうございます。
それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!


老子 (岩波文庫 青205-1) [ 蜂屋 邦夫 ]


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