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隗より始めよ――身近なものから始めましょう

隗より始めよ

隗より始めよ


ご機嫌よう!

漢検漢字教育サポーターで塾講師の有(ユウ)です。

今回は初めての記事ということで、

「はじめ」に関する故事成語、「隗より始めよ」をご紹介します。

 

 そもそも「隗」って何て読むの?

「隗より始めよ」は、「カイよりハジめよ」と読みます。

頭に「先ず」がついて、「マずカイよりハジめよ」とも言います。

「隗」って何?

(かい)」は、郭隗(かくかい)という人の名前です。

郭隗は紀元前の中国、戦国時代の燕という国の学者です。

郭隗は中国の歴史書「戦国策」に登場します。

 

隗より始めよ

燕という国は、自国で内乱が起こっている最中に他の国から攻められてしまい、一度滅んでしまいます。

そのあとに王となったのが昭王です。

昭王はなんとか国を再興させようとしますが、

いかんせん彼の周りには国の政治を任せられるだけの人材がいませんでした。

そこで昭王は郭隗(かくかい)のもとへ向かいます。

 

昭王は郭隗(かくかい)に尋ねました。

 

「どうしたら優秀な人材が私のところに集まるでしょうか?」

 

郭隗(かくかい)は答えます。

 

「まずはこの私、郭隗(かくかい)を手厚く扱いなさい。

そうすれば、『郭隗(かくかい)のような普通の人物を手厚く扱うならば、

自分はもっとよい待遇で迎え入れてくれるだろう』と、

優れた人材が自然と集まってくるでしょう」

 

それを聞いた昭王はさっそく郭隗(かくかい)のために宮殿を立て、

彼を優遇しました。

すると郭隗(かくかい)の言ったとおりに、

優秀な人材が続々と国を超えて集まってきたのです。

その結果、燕は力を取り戻しました。

そしてついには昭王のもとで全盛期を迎えることとなります。

 

以上のエピソードから、「隗より始めよ」という言葉が生まれました。

 

結局何から始めたらいいの?

 

「隗より」とは「身近なもの」という意味です。

 「大きなことをなそうとするなら、身近なことから始めなさい」というのが、

「隗より始めよ」の意味です。

また、「言い出しっぺが率先して始める」という意味でも使われています。

どちらかが間違いというわけではありません。

 

おわりに

今回は、隗より始めよ――大きなことをなすためには、身近なものから始めましょうというお話でした。

何かを始めるときというのは、

大きいことばかりに目が行って、

意外とちょっとしたことをおざなりにしがちですよね。

英語のことわざにも”start small(小さいことから始めよ)”とあるように、

身近なものから始めていくということが成功のカギなのかもしれません。

 

それでは今回はこの辺で。

ご機嫌よう!