日本語小話

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秋黴雨ーーなんと読む?

秋黴雨

意外と雨が多い秋

ご機嫌よう!

漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

 

天気予報によると今週の後半は雨が続くようです。
寒暖の差が激しくなるとのことです。皆様お気をつけてお過ごしください。

さて、本日のテーマは「秋黴雨」です。
秋といえば「秋晴れ」や、「天高く馬肥ゆる秋」というように、
澄み渡った青い空のイメージがありませんか?
ですが、天気予報を見てみると、秋は意外と雨の日が多いのです。
まるで梅雨(つゆ)のように雨が降り続くことも、しばしば。

 

梅雨(つゆ)と梅雨入り(つゆいり)

 

梅雨に入ることを、「梅雨入り」といいます。
「つゆいり」の読み方が変化して「ついり」となり、
入梅」と書いて、「にゅうばい」のほかに「ついり」と読むようになりました。

 

ちなみに、大人気の漫画『鬼滅の刃』に登場する栗花落カナヲちゃん。
彼女の名字である「栗花落(つゆり)」もこの派生です。
栗の花が散るころに梅雨に入りますよね。
「つゆいり」が変化して「つゆり」と読むようになり、
その音に、「栗の花が落ちる」で「栗花落」の字をあてるようになったそうです。

 

梅雨とカビ

 

話を元に戻します。
入梅」=「ついり」。
ここまでは納得していただけましたでしょうか。

ところで。
梅雨の時期になるとジメジメして、カビが大発生!
ということがよくあります。
困ったものです。
このカビは、漢字で「黴」と書きます。
梅雨は、「黴」の時期に降る「雨」で、
「黴雨」とも書きます。
読み方は、「バイウ/つゆ」です。
(『黴』の音読みは『バイ』。実は『ばい』菌の『ばい』は『黴』なのです)

 

秋黴雨=?

 

傘の写真



前置きが長くなりました。
ようやく問題の「秋黴雨」のお話に入ります。

秋に梅雨時のように雨が長く降り続くこと、
あるいはそういった季節に入ることを、
「秋入梅」、あるいは「秋黴雨」と書いて「あきついり」と言います。
「秋」の「梅雨」からきた言葉です。

「秋黴雨(あきついり)」。
日常ではなかなか使いませんが、なかなか素敵な響きです。

というわけで、
今日のお話は「秋黴雨(あきついり)」についてでした。

 

それでは今日はこの辺で。

ご機嫌よう!