日本語小話

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稲妻――いったいだれの妻?

稲妻

 

 

はじめに

 

ご機嫌よう!
漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

 

今日の明け方のことです。
窓の外からゴロゴロと大きな音が聞こえました。
カーテンの隙間から外をのぞくと、
真っ暗な空を縦横無尽に走り回る、青白い光!

そう。稲妻です。
その光景が印象的だったので、
本日は「稲妻」をテーマに書こうと思います。

 

稲妻――いったいだれの妻?

 

稲妻



「いなずま」は、古くは「いなづま」と書きました。
つまり「稲の妻」です。

 

「妻」といえば女性をイメージしますよね。
しかし昔はそうではありませんでした。
大切な人であれば、男の人も女の人もみんな「つま」です。
ちなみに漢字は「夫」を当てます。
まとめると、
「いなづま」とは、「稲にとっての大事な相手」という意味になります。

 

昔の日本人は、雷が稲を実らせると信じていたそうです。
つまり稲にとって、雷は「大事な相手」。
ですから、秋の雷を「いなづま」と呼ぶようになりました。
その後「いなづま」という音だけが残って、
後から「稲妻」の漢字を使うようになったようです。

 

カミナリ四季折々

 

余談になりますが、
実は雷は夏の季語となっています。
残念ですが、他の時期には使えません。
ということで、他の時季の雷の言い方を少しご紹介します。

 

春→春雷(米津玄師さんも歌っていらっしゃいましたね)

秋→稲妻、稲魂(いなたま)、稲光、いなつるび

冬→寒雷、鰤(ぶり)起こし、雪起こし

 

他にもいろいろありますので、
ご興味を持たれた方はぜひお調べになってください。

 

おわりに

というわけで、
本日は『稲妻は、読んで字のごとく「稲のつま」』
というお話でした。

 

それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!