日本語小話

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逢う――サウダージのエモさ

逢う

 

はじめに

 

ご機嫌よう!
漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

本日は「逢」という漢字について書こうと思います。

 

サウダージ

 

突然ですが、
ポルノグラフィティさんの「サウダージ」という曲はご存じでしょうか。
あの曲が発売されて、もう20年になるそうです。

なんとその「サウダージ」が、 
ついにTHE FIRSR TAKE さんに登場しました!

※THE FIRST TAKE:アーティストの方がご自分の楽曲を一発撮りで演奏するYouTubeチャンネル。

私はサムネイルを見た瞬間、迷いなく再生ボタンを押しました。
演奏準備の映像が1分ほどながれた後、曲が始まります。
岡野昭仁さんのすてきな歌声で始まったアコースティックアレンジの「サウダージ」を聞きながら、
私は思いました。

(これは、エモい……!)

国語の先生としては「いとあはれ」が正解ですが、それはそれとして。
4分ほどのこの曲に私は聞き入りました。
そしてふと気になって、歌詞を調べたのです。
すると、サビの部分のあの言葉が目に留まりました。

 

いつかまた逢いましょう

 

「会う」ではなくて「逢う」なのです。
私も今回初めて知りましたが、
これはかなりエモいポイント(いとあはれなるところ)です。

というわけで、
本日は「どうして『逢う』がエモいのか」について、
「逢」という漢字の成り立ちをご紹介しながらお話しします。

逢の象形文字

 

お待たせしました。
ようやく本題です。

「逢」は「辶」と「夆」が組み合わさってできた漢字です。

「夆」は、上の部分(「冬」の上の部分と似た形の部分)は「足(歩くこと)」を、
下の部分は、草の穂が上に向かって伸びて△になった様子を表した絵がもとになって、
△型を表しています。
この二つの部分を足すと、
二人の人が右と左それぞれから歩いてきた人たちが、
峠の頂点で出会うという意味になります。

「辶」は「進む」という意味です。
「夆」の下の部分の意味を強めています。

つまりこの二つの部分が組み合わさってできた「逢」という漢字は、
「両側から来た人たちがある一点で出会う」という意味を表しています。
そこから、「ばったりと会う」という意味も加わりました。

ここでサウダージの話に戻ります。

いつかまた「逢い」ましょう。
きっといつかはその人を忘れて、
次の人と恋をするはずです。
その人と出会ったときに、
また自分の恋心とばったり再開するのでしょう。


「会う」ことができなくなった元恋人。
いつかまた「逢い」たい恋心。
なんだか哀愁を感じます。
この何とも言えない感じが、いとエモし。
いつかまた「会い」ましょうでも悪くはありませんが、
ここまでのエモさがでない気がします。
さすが、ハルイチさんです。

 

おわりに

 

というわけで、
本日は「逢」という漢字の成り立ちと意味をご紹介しました。
読んでくださりありがとうございます。

それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!