日本語小話

3分で読める日本語雑学

重陽ーー何が重なる?

ちょうよう

はじめに

 

ご機嫌よう!
漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

本日9月9日は、「重陽(ちょうよう)」です。
別名、「菊の節句」。
今回は「桃の節句」や「端午の節句」と比べて知名度が今ひとつなこの節句について書こうと思います。

 

「陰」と「陽」

 

重陽(ちょうよう)」とは「陽」が「重なる」という意味です。

 

昔の日本には、
中国からもたらされた「陰陽(いんよう)説」という考え方が広まっていました。

「陰陽(いんよう)説」のお話をすると長くなるので割愛しますが、
ざっくりご説明すると、
「この世の中の全てのものは全て『陰』、あるいは『陽』の性質を持っていて、その二つがうまく調和して世界が成り立つ」という考え方です。
「陰」は消極的、「陽」は積極的な性質で、どちらが良い悪いということはありません。
重要なのは、両者の調和です。

 

たとえば方角でいうと、
東と南が「陽」で、西と北が「陰」です。
今でも山陰地方、山陽地方という言い方をしますよね。
これは中国山地の北、つまり山の「陰」の方角が「山陰」、
山の南、「陽」の方角が「山陽」となるわけです。

 

数字にも「陰」と「陽」があります。
偶数が「陰」、奇数は「陽」です。

1、2、3、4、5、6、7、8、9と数字がありますね。
9は「陽」の数のマックスです。

9月9日は、
このマックスの「陽」の数が二つが「重なった」ウルトラ縁起の良い日なのです。

そういうわけで、
昔から中国や日本ではこの9月9日を「重陽」として祝ってきました。

 

重陽(ちょうよう)」=「菊の節句

菊の花

 

9月9日は昔のカレンダーでいうと10月半ばくらいです。
そう。
ちょうど菊が咲き始める時季なんです。

ということで、
重陽(ちょうよう)」と菊がセットになったといわれています。

菊は薬にもなるうえ、悪い気も払うと信じられていましたから、
重陽はさまざまな方法で菊を使い、家族の健康を祈る日となりました。

この日の風習についてはまた長くなるので割愛しますが、
一つだけご紹介すると、
日本では奈良時代には宮中で、
不老長寿を願って菊の花を漬けたお酒を飲んでいたようです。

 

おわりに

 

明治以降廃れてしまった「重陽」ですが、
昔の人たちにとってはとても重要な日でした。
ぜひみなさんも、
今日はご家族の健康を願って菊の花を眺めてみてはいかがでしょうか。

ということで、
本日は「重陽」の意味と由来をご紹介しました。
読んでくださりありがとうございます。
それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!