日本語小話

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千万人といえども我行かん――正義を貫く

吾往かん

はじめに

 

ご機嫌よう!
漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

 

動画クリエーターのHIKAKINさんが運営されている「HikakinTV」。
ついにチャンネル登録者数が1000万人を超えたそうです。
信じられない数ですね。

 

それにしても、1000万。
ものすごい数です。
中国の古典では、
「1000万」という数字は「たくさん」という意味で使われます。
中国古典あるあるのドラマチックな表現です。
その「1000万」を本当に実現させてしまったHIKAKINさんは、
すばらしいの一言につきます。


ということで、
本日は記念に「1000万」という数字が出てくる故事成語をご紹介します。

 

千万人といえども、吾往かん

 

自ら反みて縮(なお)からずんば、

褐寛博(かつかんぱく)と雖(いえど)も吾惴れ(おそれ)ざらんや。

自ら反みて縮ければ(なおければ)、

千万人と雖(いえど)も吾往かん

 

 

孟子』という中国の思想書の一節です。

 

あるとき、孟子は自分の先生である孔子に尋ねます。

 

「先生。本当の勇気とはどういうものなのでしょうか?」

 

孔子は答えました。

 

「自分をかえりみて、自分が正しくないと思っていたら、
私はつまらない人相手にも恐れてしまう。
けれども、自分をかえりみて自分が正しければ、
大勢の敵がいようと私は進む」

 

この言葉を読んで、私は次のように解釈しました。

 

・自分が間違っていると気づけば、すぐに正すこと

・自分が正しいと思ったことは、どれだけたくさんの敵がいようと貫き通すこと

 

この二つのことができるのが、本当に勇気のある人だ。

 

この「正しさ」は、「信念」とも言い換えられるかもしれません。

 

おわりに

 

「千万人といえども、吾往かん」は、
現代では「良心に恥じるところがなければ、
どれだけたくさんの敵がいようと恐れずに進もう」
という文脈で使われます。

 

なかなか理想の高い言葉です。
何かにチャレンジしようとするときには、
ぜひ思い出したいフレーズです。

 

ということで、
本日は「千万人といえども、吾往かん」をご紹介しました。
読んでくださりありがとうございます。
それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!