麒麟児(きりんじ)――だれの子ども?
はじめに
ご機嫌よう!
漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。
藤井聡太さんが史上最年少で三冠を達成されたそうです。
すごいですね。
天賦の才を持つ人というのは、いつの時代にもいるものです。
藤井さんは14歳で史上最年少でプロ棋士になって以来、
快進撃が続いています。
そのニュースを聞いたとき、
私は「麒麟児(きりんじ)というのはこういう人か」
としみじみと思った記憶があります。
ということで、
今回は「麒麟児(きりんじ)」という言葉をご紹介します。
麒麟児(きりんじ)=麒麟の子
麒麟とかいて「キリン」と読みます。
動物園にいる、あの首の長い偶蹄目の動物ではありません。
「麒麟(きりん)」というのは、中国の伝説上の生き物です。
立派な人が現れる前兆として姿を見せるとされる麒麟は、
牛の尻尾に馬のひづめ、背中には翼を持っているそうです。
頭には角が生えていますが、
肉に覆われているため何かを傷つけることはできません。
そのため麒麟(きりん)は「仁獣(=やさしい生き物)」と言われています。
ちなみにボディは五色に光り輝きます。
キリンビールのラベルに描かれている格好良い生き物も、この「麒麟」です。
ところで、今から1300年ほど前の中国に、
杜甫(とほ)という詩人がいました。
がとある人の9歳と5歳になる子どもについて、
次のように言いました。
「尽(ことごと)く是(こ)れ天上の麒麟児(きりんじ)」
(二人とも天の上に住む麒麟の子どもだ)
幼いころから優れており将来有望な子ども、という意味で
「麒麟児(=麒麟の子)」と言ったわけです。
いわゆる「神童」というやつですね。
杜甫は他にも何度か、詩の中で「麒麟児」という言葉を使っているようです。
この言葉は比較的、今の日本でも使われています。
戦国時代がお好きな方であれば、
「山陰の麒麟児」と呼ばれた山中鹿之助を思い浮かべるかもしれませんね。
ここからは余談ですが、
生い先が楽しみな若者のことを、「鳳雛(ほうすう)」ともいいます。
「鳳(ほう)」というのは中国の「鳳凰(ほうおう)」という伝説の鳥です。
伝説のポケモン・ホウオウの元ネタです。
「鳳雛(ほうすう)」とは「鳳凰(ホウオウ)のヒナ」という意味です。
……結局すごい人は誰の子どもなんでしょう。
おわりに
今や藤井さんは、「麒麟児」から「麒麟」になられました。
(※飛びぬけて才能のある人のことも「麒麟」といいます)
今後のさらなるご活躍を、首を長くして待ちたいと思います。
ということで、
本日は「麒麟児(きりんじ)」の意味をご紹介しました。
読んでくださりありがとうございます。
それでは今日はこの辺で。
ご機嫌よう!