日本語小話

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霜(しも)な降りそねーー悲劇の皇子

霜な降りそね

 

 

はじめに

 

ご機嫌よう! 漢検漢字教育サポーターで塾講師の有でございます。

本日10月3日は、
飛鳥時代に生きた悲劇のイケメン、
大津皇子(おおつのみこ)が亡くなった日です。

ということで、
今回は大津皇子(おおつのみこ)が詠んだ
秋の歌をご紹介します。

 

大津皇子(おおつのみこ)

 


大津皇子(おおつのみこ)は、天武天皇の息子です。
文武両道のイケメンであったといわれる、大津皇子(おおつのみこ)。

残念なことに、
朝廷の権力争いのなか、
朝廷に反抗しようとしたという罪を着せられ、
686年10月3日(※旧暦)に24歳の若さで処刑されてしまいます。

 

霜な降りそね

 

大津皇子(おおつのみこ)は『万葉集』や『懐風藻』に、
すてきな歌や漢詩を残しています。
これからご紹介する歌は、
万葉集』に収録されているものです。

 

経(たて)もなく緯(ぬき)も定めず少女(おとめ)らが
織れる黄葉(もみぢ)に霜な降りそね

 

(この山の少女(=仙女)がどれが縦糸でどれが横糸だと決めずに織った見事な錦が、
この一面の紅葉だ。
霜よ、どうかこの紅葉に降りないでおくれ。

紅葉を枯らさないでおくれ)

 

秋の紅葉を錦に見立てて詠んだ一首です。
紅葉の美しさが目に浮かぶようですね。

 

余談ーー大津皇子(おおつのみこ)のお姉さん

 

ここからは余談です。

大津皇子(おおつのみこ)には、
大伯皇女(おおくのひめみこ)というお姉さんがいました。
お姉さんは、
伊勢神宮でお勤めをしていたので、
大津皇子(おおつのみこ)とは離れて暮らしていました。

大津皇子(おおつのみこ)は、
亡くなる直前にお姉さんに会いに伊勢神宮へと向かっています。

その際に、
お姉さんが弟である大津皇子(おおつのみこ)を見送って作った歌も
万葉集』に載っています。

そして、
大津皇子(おおつのみこ)が亡くなった後、
お姉さんは伊勢神宮での任を解かれて都に帰ります。
その道中、そして都で弟を思ってお姉さんが詠んだ歌もまた
万葉集』に載っています。

どれを読んでも、本当に切なくなります。
ご興味のある方はぜひ読んでみてください。

 

おわりに


以上、
大津皇子(おおつのみこ)の歌をご紹介しました。

 読んでくださりありがとうございます。
 それでは今日はこの辺で。
 ご機嫌よう!

 


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